夕方、急いで夕飯の支度をしようとキッチンに立った瞬間、
「ママ〜!今日はお店屋さんだよ!お客さん来てくださーい!」
と元気な声が飛んでくる。
可愛いな、と思いつつも「これ、いつ終わるんだろう…」と遠い目になること、ありませんか?
幼児期になると、ごっこ遊びはどんどん本格的になり、ストーリーが増え、役割が増え、長引くこともしばしば。
成長を実感できる楽しい時間ではありますが、フルタイムで働くワーママにとっては「今すぐ家事を進めたい…!」という気持ちとの板挟みに。
同じように「どこまで付き合うのが正解?」と悩む方、多いのではないでしょうか?
今回は、保育士経験のあるベビーシッター・えむ先生に、ごっこ遊びとの向き合い方についてお話を聞きました。
相談内容|終わりが見えないごっこ遊び

4歳の息子は最近、ごっこ遊びが大ブーム。
「ママはお客さん役ね!」と始まると、気づけば30分以上続くこともしばしば。
成長を実感できる一方、夕飯の準備や片付け、仕事の持ち帰りのタスクなどが頭をよぎり、だんだん焦りが出てきます。
「楽しませたい」「成長を応援したい」そんな気持ちはあるのに、
「ずっとは付き合えない…」という現実とのギャップにモヤモヤしてしまうことも。
ワーママとして、どうバランスを取るべきなのでしょうか?
えむ先生のアドバイス|こう考えてみては?
Q1. ごっこ遊びに夢中になるのは成長のどんなサイン?
まず教えてくれたのは、
「ごっこ遊びは“世界を自分で広げ始めている”サイン」だということ。
言葉が増え、イメージを組み立てる力が伸びる時期。
見聞きしたものを自分なりに再現し、役割を演じることで社会性やコミュニケーション力が自然と育っていきます。
保育の現場でも、ごっこ遊びが活発になるのはとても良い傾向。
ストーリーが細かくなったり、会話が増えたりするのも、発達が進んでいる証拠なのだそう。
具体的には、こんな力が育っています:
- 自分の役割を理解して演じる社会性
- 他者とのやり取りを考えるコミュニケーション力
- ストーリーを作る想像力
- 物事を順番に進める思考力
遊びを通して、思考と言葉の力がぐんと伸びていく時期です。
Q2. 親がどこまで付き合うのが理想?
「ずっと付き合わなくても大丈夫。
“時間や回数を決めて、安心して終われる道筋を作ってあげることがポイント”」と、えむ先生。
親としては、家事や仕事があるからこそ「終わり」が必要。
でも子どもは夢中だから、突然終わると不満が爆発しやすくなります。
そこで大切なのは、「終わりの見通し」を作ること。
例えば:
- 「店員さんとお客さん、あと3回したらおしまいね」
- 「時計の長い針が6になったらご飯にしよう」
- 「これが終わったらママはキッチンに行くよ」
といった 事前の予告と見通しが効果的。
声かけ例:
「ラスト1回ね。終わったら交代しよう!」
「終わったらママはご飯の用意するね〜」
納得感のある終わらせ方なら、子どもも受け入れやすくなります。
Q3. 長時間のごっこ遊びをうまく区切る工夫は?
遊びの流れを“次の行動”につなげるのがコツ。
誘導は“さりげなく、自然な流れで”を意識しましょう。
特に食べ物系のごっこ遊びは、日常の家事に結びつけやすく、区切りにも最適です。
例えば:
- 「にんじんさんおいしい〜!今日の夕ご飯もにんじん使うんだ。一緒にお手伝いしてくれる?」
- 子どもが乗ってきたら、「じゃあお片付けしちゃおう!」とスムーズに移行
「片付け→実生活の行動」へ自然に流れるので、遊びから離脱しやすくなります。
声かけ例:
「ごっこ遊びのお料理、片付けしちゃうね。ほんとのご飯づくりも手伝ってくれる?」
「今日の店員さん、とっても上手だったよ!次はお料理のお手伝い係さんお願いしていい?」
無理に終わらせるより、遊びを日常につなげることで子どもも前向きに切り替えられます。
Q4. 「遊びたい気持ち」と「家事や仕事」を両立するためのコツは?
毎回完璧に付き合う必要はなし。
できる時は一緒に、難しい時は見守っていれば良いそう。
子どもは、親が理由をきちんと伝えれば理解できます。
大事なのは “否定ではなく説明” をすること。
- 「ママ、ご飯の準備しないといけないから、ちょっとの間一人で遊んでてね」
- 「終わったらまた来るね!」
と伝えるだけでも安心して遊びに戻れます。
また、普段から“ひとり遊びの習慣”をゆっくり育てていくこともポイント。
構いすぎず、必要な時は離れるというスタンスが、子どもの自立心にもつながります。
声かけ例:
「ママはキッチンにいるけど、ここでお店続けててね」
「終わったら呼んでね〜」
◆えむ先生からのコメント
「子どもの“やってほしい”“一緒にやろう”に全部応える必要はありません。
忙しい毎日の中で、ママにも“いまやるべきこと”があることを、子どもに伝えていくのも大切な学びです。」と、えむ先生。
ごっこ遊びに適度な距離感を持つことは、決して悪いことではありません。
適度に離れる経験は、子どもの自発性や“自分で遊ぶ力”にもつながっていきます。
また、家庭の中でこんな工夫ができると、自主性がさらに育ちやすくなるそう。
- 子どもに小さな役割を与える
- 自分で選ぶ機会を増やす
- 大人が“手を出しすぎない”姿勢を意識する
- 失敗を許容する環境を整える
「遊べる時は思い切り一緒に。難しい時は理由を伝えながら距離を取る。」
そのバランスが、親子にとって心地よい時間を作ってくれますよ。
実際にやってみた|アドバイスを試してみて感じたこと
えむ先生のアドバイスをもとに、我が家でも「回数を決める」「時計で終わりを予告する」を試してみました。
最初は「え〜やだ!」と言っていた息子ですが、毎回同じルールを繰り返すうちに、少しずつ受け入れられるように。
特に効果があったのは、遊びを次の行動につなげる声かけ。
「お店屋さん閉店したら、一緒にご飯づくりしよう!」と言うと、思った以上にスムーズに片付けに移行してくれて驚きました。
また、どうしても離れられない時には「ママはご飯作るから、店長さん続けててね」と説明し、自分の役割を伝えるようにしたところ、息子自身も“ひとりで続ける力”が少しずつ育ってきたように感じます。
まとめ|ごっこ遊びは成長の証。だからこそ“上手に区切る工夫”を
ごっこ遊びは、子どもの想像力・社会性・コミュニケーション力がぐんと育つ大切な時間。
でも、忙しいワーママが“全部付き合わなきゃ”と思う必要はありません。
・見通しを作る
・時間や回数を決める
・遊びを次の行動に自然につなげる
・難しい時は理由を丁寧に伝える
この4つが揃うと、親子どちらも心地よく過ごせるようになります。
無理のない範囲で、お互いにとって楽しい遊び時間になりますように。










